NO 45 / 1999年3月
- 昨年末の、女川原発のモニタリング用放射線源で中学生9名、教師6名
含め19名の方たちが被曝した事故は、次のような経過をたどって起きた。
まず、モニタリングポスト(原発周辺の放射線を測定する機械)の点検のた
めに必要な放射線源(放射能を一定量もっている物質)を、業者が鉛容器に
入れたままモニタリングステーションの外に放置していた。
そこは中学生たちが自由に近づける場所であり、その鉛容器をさわっている
内に蓋がはずれ中の線源が出てしまった。
その後気づいた業者が探してみたが線源が小片でもあり見つからず、教師と
生徒たち30名に探してもらった。
線源が生徒たちによって見つけだされ、その際素手で持って生徒から教師、
業者へと返されたために被曝したという。
さらにこの出来事を説明するために女川町へ行った原子力センターの所長が
、危険はないとしてこの線源を町職員に手渡したためにまたここでも4名の
町職員が被曝してしまったというものである。
これは長年、原子力防災を考え続けていた富山在住の山本定明さんからいた
だいた資料に基づいたものである。
山本さんがおっしゃるようにこの経過の各局面で見えてくるものは、
「異常事態を想定する能力の欠如」であり、「放射線被曝の危険を重視する
ことの欠落」である。
「小さな事故であっても、それによって被曝した人にとっては、大事故での
被曝と本質的に同様」であるという山本さんの言葉に全く同感である。
今回の事故をきっかけに教育の現場から原子力防災を見直してほしい。自分
たちの命や生活を自分たちで守るということをもう一度考えてみてほしい。
そしてそのことが原発を選択しない町づくりへとつながっていってほしい。
被曝した若い中学生たちに何の影響も出ないことを心から願う。